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漢字の正しい書き順とは?

 TVのクイズ番組で漢字の書き順が出題されていました。子ども時代、苦労した方もいらっしゃるのでは?

 私は漢字を覚え始めたころから、漢字は完成して意味を持つものなので、その制作過程に意味はないと考えていました。そして、それが明らかになったのは「左右問題」です。

 「左」という字は「一」から、「右」という字は「ノ」から、この有名な書き順問題に対して、私の子ども脳が異議を唱えたのです。縦横の画が交わるときは横が先という原則に反する。そして、「ナ」+「エ」or「口」と、同じ形をしているのに書き順が違うのは理解不能。そこで今でも、書くときは左右とも「一」から書きます。そして、試験のために(歴史問題と一緒で)「右はノが先」と覚えているのです(笑)。

 正解とされている書き順ですが、TV画面の隅に「筆順指導の手びき・文部科学省・1957年・による)とあります(1957年は私の生まれた年です)。この「手引き」は当時、学校や塾(習字)で教える書き順がまちまちだったので、「先生によって書き順が違うと指導しづらい」という指導の効率上の理由で統一的に作られたもので、「正解」でも何でもありません。それが証拠に「本書(手引き)に掲げられた以外の筆順で、従来行われてきたものを誤りとするものではない」と注意書きがあります。

 コンピュータが普及した今なら、漢字の制作過程に意味がないこともご理解いただけるでしょう。

 コンピュータの印字出力に書き順はありませんから・・・

 さて、「左右問題」です。ワープロの文字を拡大してみてください。

「左」と「右」を比べると、「一」と「ノ」の長さの違いに気づきます(普通は気づかない)。

 どちらの漢字も「左手」と「右手」に由来します。「エ」は祈りに使う道具、「口」は祈りの文書を入れた器。目の前で左右それぞれの手のひらに載せているところを想像してみてください。「左」の「ノ」と「右」の「一」が長いのは「腕」だから。短く書くのは「手のひら」を表すため。左手と右手に角度が付いているので、左右対称になりません。そして、漢字にするときは短い「手のひら」を先に書いてから、長い「腕」を書く。歴史問題でした。