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彼岸の入り

 中日(春分の日か、秋分の日)をはさんで前後3日、計7日間が彼岸です。煩悩と迷いの世界、此岸(しがん)にいる私たちが、この期間に善い行い(修行)をすると彼岸(ひがん)である極楽浄土に行くことができます。

 本来なら四六時中、修行しなければならないのに、これを7日間に短縮し、厳しい修行によって悟りを拓かなければならないのに、これを先祖の供養(お墓参り)に代替え簡素化する。こうしたご都合主義は今に始まったことではありませんが、せめて、お彼岸の7日間だけでもこころ静かに過ごしたいものです。

(16日の地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます)

 さて、彼岸に行くための本当の修行に「六波羅蜜」(ろくはらみつ)があります。

 お寺でよく聞くハンニャーハラミター(般若心経)の「波羅密多」です。

布施(ふせ)見返りを求めず他人のために善行を施す

持戒(じかい)戒律を守り他人に迷惑をかけない

忍辱(にんにく)身に起こる困難を受け容れ耐える

精進(しょうじん)最善を尽くして努力する

禅定(ぜんじょう)心を平静に保ち動揺しない

智慧(ちえ):怒りや欲望に捉われず真実を見極める

 ああ、それなのに俗世の凡人たちは仏壇にお花だけでなく、果物やお菓子をお供えします。もちろん、仏様は食べることができませんから、お見せしたら、俗人らが食べてしまうのです。

 春のお彼岸は「牡丹」にちなんで「ぼたもち」、秋のお彼岸は「萩」にちなんで「おはぎ」。こころ静かにいただきたいと思います。