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検察審査会が35人を起訴相当と議決しました

 事件は参議院選挙(2019年7月)。河井克行元法務大臣は、広島の地元議員など100人に2900万円を配ったとして公職選挙法違反の罪に問われ、実刑判決が確定しました。この選挙では、妻の案里元議員が初当選しています。

 判決で100人への現金提供はすべて買収だったと認定されましたが、東京地検特捜部は、「公平で合理的な基準を引くことが困難」などとして現金を受け取った100人全員を不起訴にしました。

 この処分に異議を唱え、検察審査会に申し立てを行ったのは広島市の市民グループです。

 東京の第6検察審査会は1月28日、100人のうち35人を「起訴相当」、46人を「不起訴不当」と議決し、合計81人について再捜査を求めました。確かに、渡した方が有罪なのに、もらった方がお咎めなしというのも???

 ところで、この検察審査会とは、選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、「不起訴処分」の当、不当を審査するものです。国民の中からくじで選ばれるところは裁判員制度に似ていますが、裁判員制度が2009年から始まったのに対し、検察審査会制度の歴史は長く、戦後間もない1948年に作られ、これまで審査した被疑者数は延べ18万人以上に上り、司法における国民参加という点では先輩格にあたるものです。

 検察審査会は全国に165か所、地方裁判所と主な地方裁判所支部内にあり、犯罪被害者や犯罪を告訴・告発した人から申立てがあったとき等に審査を開始します。

 議決の内容は、起訴をすべきである「起訴相当」、更に詳しく捜査をすべきである「不起訴不当」、不起訴処分は相当である「不起訴相当」の三つに分かれます。「起訴相当」「不起訴不当」の場合、検察官は事件を再調査しなければなりません。再調査の結果、「起訴相当」の議決に対して検察官が起訴しない場合は、改めて検察審査会議で審査し、その結果、起訴をすべきであるという議決(起訴議決)をした場合には強制起訴の手続がとられます。

 この事件では、3月下旬に時効を迎えることもあり、すでに検察による事件の再調査が始まっています。

 ところで、検察審査員(補充員)になる確率は?年間0.007%だそうです。

 一方、裁判員制度の裁判員は年間0.01%。同じくらいということでしょうか?