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和歌山県で震度5弱(安全化バイアス)

 3日午前9時28分ごろ、紀伊水道を震源とする地震があり、震度5弱(和歌山県御坊市)を観測しました。

 震源の深さは18キロ、地震の規模M(マグニチュード)は5.4。この地震による津波の心配はありません。

 紀伊半島で地震となると、どうしても気になるのが東海地震(南海トラフ地震)です。

 東海地震は、南海トラフ沿いで想定されている大規模地震です。東海、東南海、南海地震、これらの総称でもあり、この近傍では、過去、100~150年に一度程度の間隔でM8クラスの巨大地震が繰り返されています。

 「東海地震はいつ発生してもおかしくない」と、直前予知を前提とした大規模地震対策特別措置法(1978年)が策定されたこともあります。地震を予知したら、内閣総理大臣が警戒宣言を出すというストーリーです。

 誰もそんな勇気を持っていないということは、コロナの水際作戦を見ても明らかですね(笑)。

 しかし、1995年に阪神淡路大震災、2011年に東日本大震災が発生し、前兆現象を捉えられなかったこと、想定を越える甚大な被害を出してしまったことなどから、「警戒宣言が前提とする確度の高い予測はできない」ということになり、被害軽減のための「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(2013年)が制定されました。つまり、地下のことは誰にもわからないということです。

 「南海トラフでフィリピン海プレートが沈み込むことによって、内陸でも地震がこれまでも時々、起きている。先ほどの地震は、そういった地震の1つ。マグニチュード5.4の地震が起きたからといって、南海トラフの地震がすぐに起きるとは普通は考えませんので、今後の地震活動の推移を注意深くみていく必要がある。同程度の揺れは今後、数日あるいは一週間程度の間にまた揺れる可能性があるので十分、注意して頂きたい」(地震調査委員会委員長)

 大雨が降っても「自分の家だけは大丈夫、流されない」というヒトの認知の特性を「安全化バイアス」、「正常性バイアス」と呼び、逃げ遅れの原因となっています。ヒトは自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価してしまうのです。東海地震による津波は僅か数分でやってきます。荷物をまとめている時間のないことだけは知っておいてほしいと思います。