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石油の国家備蓄を初めて放出

 このところ、ガソリンが高くなっています。コロナ禍で出かけることもありませんが、ガソリン以外の石油製品の価格上昇も懸念され、今回の放出となりました。「日米や関係国との協調を前提としながら」と発表されていますから、日本が独自に考えたわけはないようです。

 日本の石油備蓄は、1973年に発生した第一次オイルショックを契機に始まりました。

 油断大敵~石油のほとんどを輸入に頼る日本としては、必要な対策でした。国際エネルギー機関(IEA)が経済協力開発機構(OECD)の下部機関として設置されたのも、1974年のことです。

 現在、日本の石油備蓄には国が保有する国家備蓄(145日分)と、石油会社に法律で義務付けている民間備蓄(90日分)があります。1991年の湾岸戦争や、2011年のリビア情勢の悪化を受けて民間備蓄が放出されたことはありましたが、国家備蓄の放出は今回、初めてであり、「戦争」状態ということができるかもしれません。

 もっとも、これを石油増産に動こうとしない石油産油国への「ゆさぶり」という見方があります。

 化石燃料を使わないようにしようというCOP26の話と比べ、実に下世話で現実的な話です。