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不思議の国のアリス症候群

 お彼岸。

「星の王子さま」を読んでいたころ(小学生低学年)、私は「不思議の国のアリス症候群」に悩んでいました。

 この病気のようで病気でないような名前は、大人になってから知りました。目の前の人や物が急に大きく見えたり、小さく見えたり、ゆがんだりするという症状が主流のようですが、私の場合は、時間が早く進む発作でした。

「何かやってきそうだなぁ」という前触れが合って、数分から数十分、頻度としては月に数回。時計がチクタク、チクタクと早く動き、世の中の動きもそれに合わせて忙しなく動き始めるのです。そのスピードは倍速より早く3倍以上だったと思います。

「不思議の国のアリス症候群」という名前は、その症状がアリスの世界に似ていることから、イギリスの精神科医が命名したものです。しかし、アリスの世界そのものが「不思議の国のアリス」の作者、ルイス・キャロルの体験によるものでないか、という説があります。

 さて、私の発作ですが、年齢とともに減少し、50代では年に数回、60歳を超えてからは一度もありません。

 決して愉快な経験ではありませんが、無くなってしまうのは、大人になってしまうようで、寂しい。

(もう、十分、大人ですが~)

 これらの現象は、「脳」の仕業だと考えられています。光も音も、全て「脳」で処理されているからです。

 倒立像を正立させたり、二つの目で見ている像を一つにしたり、騒音の中で必要な人の声や音だけを聞き分けるカクテルパーティ効果など、私たちが「現実」だと認識している全ては「脳」の仕業、演出によるものです。

 この「不思議の国のアリス症候群」を患う人の特徴に「片頭痛」があります。しかし、不思議なことに私は「頭痛」と無縁です。生まれてから60歳になるまで三回だけ、頭の痛いことがあり、いずれも脳神経外科を受診していますが、いずれも計器的には「異常なし」です。

 CTやMRIなどの計器では分からない、あのアリスの世界が再び現れたら、このブログで報告します。